2012年8月10日金曜日

11DA268l 寺門奈緒

報告会感想:

 28日に行われた東日本大震災研究報告会では、大学が東日本大震災にどう関わっているのかをよく知ることができた。

 社会学の観点からは、震災後の政治参加についての現状が述べられ、「なぜこれほどまでに震災復興についての議論が国会でなかなか進展が見られないのか」というもどかしさに応えていた。
 特に、東北大の川村教授の研究報告から、次の新たな視点を得ることができた。対策チームなどで最も聞き入られるべきでものは、被災者の人々の声である。その声を議会に届けるのは、当事者である市議会議員の人々となる。そしてその議員を「選ぶ場」である“選挙、投票”が、被災地では行うことが困難な状態にある、ということが問題の根底にあるということだ。
 一般的に、復興のためにはインフラストラクチャーの整備が必要だと言われている。そしてそのインフラストラクチャーと聞けば、まず思い浮かべるのは道路や学校・病院などの施設であろう。
 しかし今回の講演から、インフラストラクチャーの中には、“投票の場をつくること”も大きな比重を占めているのではないだろうか。この整備が遅れれば遅れるほど、現地の人々の声は届かなくなり、適切な対策には結びつかない。市民の『投票参加』への求心力を強める対策に力を入れる必要性が、震災復興には生じてくるということが言えるだろう。

 また、普段触れることのない物理学の観点からの報告も興味深かった。
 テレビなどのメディアのなかでは放射線の測定や、ストロンチウムの測定は、その結果しか述べられない。しかし今回、その測定がどのように行われているのかという点からくわしく理解することができた。そのお陰で、普段なんとなくメディアから聞き流している放射線や、ストロンチウムなどの言葉が、よし現実を帯びて聞こえるようになった。
 このことから、メディアには本当は深刻にとらえられるべき事柄が、経過を飛ばして伝えられることで、現実性を薄めてしまっているのではないか、と感じられた。

 このような理解を得るためにも、新しい観点を得られる「学際的」な見方というのは重要なのだと分かった。そしてその得られた視点に対しどう対処してくことができるのかを、様々な学問分野から取り組んでいくことが、これからは大きな鍵になってくると感じられるようになった。その過程で、大学が果たす役割は大きいということが今回の報告会で知ることができた。

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